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営業パフォーマンスを高めるには? 2005/11/25(金)
本日は、私の師匠のAGP行動科学研究所の長谷川さんの文章です

営業のパフォーマンスを高めるには、基本はロープレにあると思います。
毎日、毎日。繰り返して行う,このことが非常に大切だと思うのです。私の知る、伸びている会社は、みな非常に熱心にこれを繰り返しています。ただ、ロープレを行うと言っても前回お話したように、顧客の気持ちをトレーナーがフィードバックすることが大切です。欠点やポイント指摘ではなく、一緒に考えるスタンスが大事だといえます。そうすることで、自主性を伸ばすことになるからです。その意味では、管理職のコーチングスキルを磨く必要があります。

話は少しズレるかもしれませんが、私は、ローパフォーマーといわれる人は、大体5つのパターンに分かれると思います。それは、

@性格的に適性の無い人  
A営業のやり方のわからない人
B個人の環境適応能力の低い人  
C評価があいまいで、人間関係が悪い人(いわゆる上司との相性) 
Dモラトリアムな人(自我の未成熟)です。

なぜ、ローパフォーマーを取り上げるかというとハイパフォーマーの研究はよく取り上げられるのですが、ローパフォーマーは取り上げられません。しかし、よく考えれば、ハイにはハイの理由があるように、ローには、ローの理由があります。これがわからなければ、組織の生産性を向上する手がかりは、得られません。どこの組織もハイは、少ないのです。ローを知ることで、ハイを知る手がかりが掴めます。
また、こういうことをすれば、ローになるとか、こういう人材は、やはりうちに向かないということがより鮮明になります。

先日、ある不動産の販売をされている会社にお邪魔したときに、社長さんに

『御社のローパフォーマーを上げてください』

といって、具体的にどんな人がローパフォーマーかを話していただきました。そうすると、次のような返事が返ってきました。
@ 意欲、やる気のない人  
A 向上心のない人  
B 明らかに適性の無い人(暗い)
C セールストークや表現力の未熟な人  
D 相手の本音のニーズを汲み取れない人
などの人だそうだ。

この結果を先程のローパフォーマーの分類と比べて見て下さい。ほとんど、同じじゃないでしょうか。御社のローパフォーマーは、どうなっていますか。考えてみてください。ローパフォーマーでもやる気はあるけど、やり方がわからない。または、未熟だという人は、伸ばすことは可能です。セールストークや表現力が磨かれれば、変わってきます。このタイプは営業技術の問題ですから、それさえ、改善されれば、急に伸びるのです。その意味では、上司のマネジメントしだいです。ところが、適性がないとかモチベーションがないというのは、非常に難しい。本質的に営業に関心がなく、仕方がないからやっている人が多いのです。
普通、営業マンという人は、受注が入ったり、数字が上がるとすごくうれしいと
感じる人たちです。ところが、そういう人たちは、数字が達成してもそんなに嬉しいと思わない人たちです。なぜなら、彼らの本質的な欲求や価値観はそこになく、仕方なく営業をやっている人たちだからです。

そんな彼らでも何かの拍子で変わることがあります。それは、仕事しているうちに自分にあった価値をその仕事で見出すことが出来たときです。つまり、自分自身の仕事の捉え方が変化したときや仕事を評価され喜びを見出したときです。しかし、実際このようになるには、優れた上司がきめこまやかなフォローをしてあげないと難しいでしょう。多くのプレイングマネジャーの上司は、それだけの余裕はありません。そういう理由で、やはりローパフォーマーは、ローパフォーマーのままということになります。

では、彼らは本当にローパーフォーマーでしょうか。
それは、その時点のその会社では、そうだということに過ぎません。誰にでも可能性はあります。ただ、残念ながらその会社では、発揮されてないのです。これは、私見ですが、こういう人は、共通して非常に受動的で目的意識がなく、アイデンティティのない人が多いと思います。いわゆる、モラトリアム人間なのです。

企業が今日のように、余裕がなくなってくると、このような人材まで、大目に見られなくなります。いち早く、人材を戦力化したいというのが企業の本音です。
かくして、成果主義の名のもと人材の基準と棚卸が行われるようになりました。
営業マンもどんな人が活躍しているのか、どんな人が活躍できていないのか,将来、どんな人が必要になるのかなどを調査分析して、採用していこうとなったわけです。

この代表的な例がコンピテンシー採用です。
ただ、このコンピテンシー(行動特性)については、様々な問題点があり、運用するにはそれなりの正しい理解がないと混乱してしまいます。このことは、また次回にでも取り上げましょう。

これだけで書いていけば、本が書けますから。(書くつもりはないが)
コンピテンシーの是非はともかくとして、少なくても
「どういう行動をとればいいのか、また活躍している人はとっているのか」
が明確になればなるほど、参考になります。

ローパフォーマーやミドルにとって、活躍している人の行動やノウハウ、時間の使い方などが見えれば、非常に参考になることは、間違いありません。
そのような情報があれば、自分なりにヒントになりますし、真似て見ることもできます。

ありがちな過去の上司の成功体験を押し付けられて、下手なマネジメントをされるより余程、参考になるでしょう。(市場の変化についていけない上司)
問題なのは、「成果を上げていくためには、どんな行動をとればいいのか」という情報であり、基準です。そしてそれを提供できる環境です。それが,無いから組織の人的生産性が向上しないのです。どんな会社でも活躍している人はいます。ヒアリングすると、必ず、なんらかの創意工夫をしています。自分にあったやり方を知恵を絞って考えています。これらの情報をオープンに出来ればできるだけ参考になります。個々の持つ知を組織の知にしていく。
このことが非常に大切な時代になったということです。

ちなみに、ハイパフォーマーという人は、たまたま自分の資質(性格)にあった仕事のスタイルを確立できた人と定義できます。自分なりの営業スタイルが確立できた人をハイパフォーマーと呼ぶのです。そういう意味では、それ以外の未確立な人のために情報が必要なのは、いうまでもありません。
どんな営業マンも成績を上げたいと思っていることに、変わりはないのですから。

ところで、まったく矛盾するようなことをいいますが、「人材に期待しても人材に依存する」ような仕組みでは、いけません。営業体制もシステム的に見直し、どんな人材でも力を発揮しやすい仕組みを常に模索していかないと継続的な繁栄は望めないでしょう。そのためにも今、活躍している人材を分析し、「何が成果を上げる要素なのか」を分析し、その上で、どうすればそれをシステム的にできるかを考え、工夫していく必要があるのではないでしょうか。

例えていうなら、職人の技がコンピュータ化されていったように。システム化が大切です。しかし、忘れてならないのは、そのシステムを考えるのも運用するのも人間です。その人たちの特性を配慮しないシステムは、うまく機能しないでしょう。
例えるなら、飛車に角を、金に銀の働きをさせようとするシステムになるからです。

集約すると、個人の知を組織の知へ、そしてシステム化へ。そしてまた個人の知へという仕組みをつくり上げることしかありません。人と情報をどう活かすことができるか、そのことがすべての価値をつくり、勝ちをおさめることことができる秘訣となります。(サブいかな?)
創造力を発揮するにも情報がいります。まずは、自社の営業人材の棚卸と仕事の棚卸をされることから始められては、いかがでしょうか。

そして、みなさんで、今お客さんや市場はどう変化しているか話し合ってみてください。売れないとしたら、何かが変化してきているからです。
それを話し合う環境づくりが営業には求められてきているように思うからです。
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